「ただーいま」
玄関を開けて、一言。
片手で靴を脱いでいると奥からとてとてと小さな足音。
ふと顔を上げる。
視界に入った人物を見て、俺は自然と顔がほころんでいた。
大切な宝物
「おかえり!」
「ただいま、」
俺の胸に飛び込んでくるをしっかりキャッチして、そのまま抱き上げる。
ギュッとしがみついて、えへへと可愛く笑う。
俺もつられて笑う。
頭をなでてやると嬉しそうに、でもくすぐったそうに身をよじる。
可愛い、可愛い、俺の妹。
リビングに入ると、スルリと俺の腕を抜け出してテレビの前に駆けていく。
気になるCMでもやってたか?との様子を見ていたが、
テーブルから何かを手にしてまた戻ってくる。
「見て見て!」
バン!という効果音がつきそうな勢いで持っていた画用紙を広げる。
「ん〜?どうしたんだ?これ」
「今日幼稚園で描いたんだって、それ」
俺が聞くと、の代わりに母さんが答える。
「へぇ〜」
じっくりと画用紙を見つめる。
男の子と女の子が仲良く花畑の中で手を繋いでいる。
上手いとはお世辞にも言えない絵だったが、なんともらしい絵だった。
「上手いじゃん、」
そう言って頭を撫でてやると、満面の笑みを見せる。
「はい!これ、かず君にあげる!」
「俺に?」
「うん!だって今日はかず君のお誕生日だから!プレゼントなの!」
頑張って描いたんだよ?と少し照れくさそうに俺に差し出す。
「ありがとな、」
ゆっくりと手を伸ばしてそれを受け取る。
嬉しくて手に力が入る。
画用紙がグシャグシャにならないように気をつけながらギュッと握った。
画用紙に描かれた俺とは似ても似つかない男の子。
多分、俺とおぼしき男の子。
その横に並ぶとおぼしき女の子。
2人とも笑顔だった。
驚くほど楽しそうな、嬉しそうな笑顔で仲良く手を繋ぐ2人。
どれほど俺の事を好きでいてくれてるかがよく分かる。
からの「大好き」がいっぱい詰まった絵。
あまりに嬉しくての頭をこれでもかってくらいなで回してやる。
「かず君、いや〜!やめて〜!」
逃げようとするを両腕でしっかりホールドしてさらになで回す。
「いや〜!」と口では言うものの、表情はすごく嬉しそうだった。
なでる手を止めて、ギューッと抱きしめる。
「ホントありがとな、。大事にすっから」
「うん!かず君、お誕生日おめでとう!」
花が咲いたようにが笑う。
それを見て俺も笑う。
今日もまた可愛い可愛い妹からの
大切な大切な宝物がひとつ増えました。
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
高尾生誕祭企画ということでアンケートさせてもらい、
見事1位に選んでいただいたシチュエーション、「可愛い妹ちゃんからお祝い」です。
投票いただきありがとうございました!!!!
幼稚園に通ってるぐらいの小さな妹ちゃんに
デレデレな和成お兄ちゃんだったらイイなと思って書きました。
高尾はシスコンになりそうですね(笑)
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.11.21
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