時計の針が時を刻む。
君と一緒に過ごす空間。
ゆっくり流れる、甘い時間。
Sweet Time
日曜日の昼下がり。
久々のオフということもあり、オレはを家に呼んでくつろいでいた。
は雑誌を読みながら、オレは雑誌を読んでいるを後ろから抱きしめながらテレビを見ていた。
ふとが「そういえば・・・」と話を切り出す。
「黄瀬君、誕生日何か欲しいモノはありますか?」
は雑誌に目を落としたまま尋ねた。
オレはを抱きしめる力を少し強めた。
「が欲しいッス」
「却下です」
は即答した。
オレは少し声を大きくして反論した。
「何でッスか!?」
「欲しいモノを聞いたんです。第一、私はモノではないです」
は雑誌から目線を上げることなく、淡々と話す。
オレはの肩に顔を埋める。
結構マジで言ったんスけどね。
「ん〜今欲しいモノ・・・」
オレは考えてみるが、特に欲しいモノは思い浮かばなかった。
チラッとを見るが、いつもと変わらない表情で雑誌を読み続けている。
「じゃあ、笑って欲しいッス」
少し冗談交じりに笑って言ってみる。
はようやく雑誌から目を離す。
そして、オレの方に顔を向けてふわっと笑う。
思わずオレはドキッとした。
まさかいきなりやってくれるとは思わなかったから。
は再び雑誌に目線を移す。
「・・・これでイイですか?」
その行動は照れ隠しをしているように見えて、可愛いなと思った。
「誕生日プレゼントじゃないんスか?」
オレは意地悪く聞いてみる。
目線は雑誌に向けられたままだが、少しだけムッとした表情になる。
「これぐらいならいつでもします。
というか、これだとまるで私がいつも笑ってないみたいじゃないですか」
「いや、あんま笑ってないッスよね。無表情というか・・・」
そこまで言って、オレはみぞおちに衝撃を受けた。
が肘鉄を食らわしてきたのだ。
「失礼です」と言ってさらにムッとした表情になる。
「ごめん、ごめん。他の人の前ではってことッス!!オレの前では結構笑ってるじゃないッスか」
オレがニカッと笑うと、も少しだけ微笑む。
でもそれもすぐにいつもの無表情に戻ってしまう。
「で、欲しいモノ見つかりましたか?」と再度尋ねられた。
「そうッスね〜・・・。あ、名前。名前で呼んで欲しいッス!!」
オレが少しはしゃいで言うと、は静かに目線を上げた。
そして少し考え込むような表情になる。
「あ、無視して呼ばな・・・」
「涼太」
「・・・へ?」
オレの言葉を遮ってが名前を呼ぶ。
思わず気の抜けた返事が出てしまった。
「ええと〜、?今、なんて・・・?」
「『涼太』と呼んだんですよ。呼んで欲しいと涼太が言うので」
はオレの方を振り向いてふわっと笑う。
不意打ちすぎて心臓が止まるかと思ったッスよ。
「・・・名前呼んで、笑うのは反則ッスよ・・・・・・」
きっと今のオレは顔が真っ赤だろう。
またの肩に顔を埋める。
の前だとなぜこんなにも余裕がなくなるのだろう。
「反則は涼太です。いつも不意打ちばかり私にしてくるお返しです」
はそう言って、少し身じろぎすると体をオレの方に向ける。
真正面から向き合う形になって、少しだけオレの心臓がドクンと跳ねた。
オレの心を読んだかのようにが少し意地悪そうに微笑む。
次の瞬間、オレの唇に軟らかい感触が触れた。
何が起きたのか、理解するのに数秒を要した。
静かに感触が離れていく。
すぐ目の前にはの顔。
「私からもらえるものなら何でもイイという感じがしたので、
勝手にプレゼントさせてもらいました。ダメでしたか?」
がいたずらっ子のような笑顔で微笑む。
オレは唇を指でなぞる。
がオレにキスをした。
たまに大胆な行動に出ることは知っていた。
が、まさか、
今、
このタイミングでその行動に出るとは考えてもいなかった。
オレは唇を噛みしめる。
カチャッと頭の中で何かが外れる音がした。
それと同時にオレはを押し倒していた。
は目を丸くしてオレを見上げている。
そのままにキスをする。
さっきしたようなのとは違う、長くて甘いキス。
「・・・やっぱり、オレ、が欲しいッス」
唇を離すと、オレは絞り出すように言葉を発した。
けど、はいつもの無表情で切り返す。
「却下です」
そんなに嫌なのかと少し落ち込んでいると、
はオレを真っ直ぐに見つめてハッキリとオレに告げた。
「私はモノじゃないです。けど、私の心はもう涼太のモノだと思ってます。
だから今さらあげるとかは無理です。もう、あげてしまっていますから」
は今までで一番の笑顔をオレに向ける。
オレは口元を手で覆い隠した。
「・・・だから、それ反則ッスよ、」
また顔が真っ赤になっているだろう。
本当にの前では余裕がなくなる。
にはかなわないと改めて思う。
「そんな可愛いこと、可愛い顔で言われたら、オレ、止められる自信ないんスけど」
「どうぞ。言ったでしょう?私の心は涼太のモノですよ」
もう一度、が笑う。
その顔を見てオレも笑顔になる。
そして、オレはの唇に自分の唇を重ねた。
ゆっくり流れる、甘い、甘い、優しい時間。
この時間がずっと、ずっと、続けばいいのにと願った。
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
6/18 黄瀬っちバースデーおめでとう!!!!
ということで、書いた初☆黄瀬作品です。
イケ黄瀬書こうと思ったのに、やっぱどこかワンコ。
なぜそこにいった??
多分、これでイケ黄瀬書けなかったら一生書けないと思う。
というか、確信した。無理(笑)
公式で「黄瀬が黒子っちに執着してる」みたいに言ってたから、
黒子っちみたいな敬語なヒロインに惚れていそうということで生まれたヒロインちゃん。
最近、敬語キャラの子キテる。可愛すぎる。
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.06.18
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