髪がほどけるように
キミの心もほどけたらイイのに―――
むすんで ひらいて
「ピーーッ」
体育館にホイッスルの音が響く。
私はズカズカとコート内に足を踏み入れる。
「あ?」
急にゲームを止められた青峰君は不機嫌そうにホイッスルを吹いた張本人である私を睨みつける。
「おい、。何で止めんだよ!今、良いところだったのに・・・」
「良いところだったのに・・・じゃないわよ!青峰君、私の説明聞いてた?!
青峰君はディフェンス練習!オフェンスじゃないの!
オフェンスのボールをディフェンスが取ったら、オフェンス側が交代してローテーションで練習してねって言ったよね?!」
私はまけじと青峰君に注意する。
大好きなバスケのことになると話聞かないとは、さつきに言われていたけど、
ここまで聞いてないとは思わなかった。
さっきからルール無視で練習をしてる。
今日はたまたま赤司君が休みだからいいものの・・・。
これで赤司君がいたら、これぐらいの説教じゃ済まない気がする。
「ったく、はいちいち細けぇんだよ!」
青峰君はガシガシと頭を掻く。
せっかく楽しくなってきたのに私に茶々を入れられて気分を害した様子。
「細かくない!ちゃんとこっちで組んだ練習通りにしてもらわないと・・・わっ!」
私が立て続けに青峰君に注意すると、急に青峰君が私の頭を乱暴になで回してきた。
「わーった、わーった。言うとおりに練習すりゃあいいんだろ?練習すりゃあ・・・」
本当に面倒臭いという顔をされる。
私は頭に置かれている手を振り払った。
「ちょっと!髪ぐしゃぐしゃにしないでよ!ほんっとうに青峰君ってデリカシーがない!」
私がそう言うと「何だと!?」と青峰君が少しキレた。
キレたいのは私のほうだ!
女の子の頭を軽々しく触ると同時に髪をぐしゃぐしゃにするとかあり得ない!
・・・なんで、こんなヤツ好きなんだろう・・・。
「はぁ〜っ」とため息が出る。
ちょっと心の中で毒づきながら、私は髪をほどいた。
「本当に信じらんない・・・」と呟きながらもう一度髪を結い直す。
急にぐいっと手首を掴まれる。
その拍子に1つに束ねかけていた髪が手からするりと抜けた。
せっかくまとめた髪がほどける。
私はちょっとだけ不機嫌になって、掴んできた張本人を見上げる。
「・・・何?青峰君」
青峰君は答えることなく、ただ私をジーッと見ている。
見つめられてることに少しドキドキしたけど、
そんな気持ちに気づかれないよう、少し睨むようにして見つめ返す。
少し表情を和らげて、青峰君が口を開く。
「。お前さ、髪下ろしてる方が可愛いよ」
「・・・は?」
私は気の抜けた声を出した。
開いた口が塞がらない。
遠くで青峰君を呼ぶ声が聞こえた。
「俺、練習戻るわ」と言い残して青峰君は去っていった。
私の顔は見る見るうちに真っ赤に染まる。
誰にも見られないように両手で頬を覆い隠す。
「〜〜〜っ不意打ちだよ、バカ!」
本当は大声で叫びたかったけど、そんな勇気はない。
自分にしか聞こえない程度の声でそう呟いた。
それからというもの、私は部活の時以外髪を下ろすようになった。
また「可愛い」と言って欲しかったから。
少しでも私に気づいて欲しかったから。
いつかキミを絶対に振り向かせてやるって思った。
私を本気にしたんだから、覚悟してよね?
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
意外と素直だと思うの、青峰って。
桐皇時代より帝光時代のピュア峰が好き。
それか、黒子に負けた後の桐皇青峰。
天然とまではいかないけど、サラッと天然っぽい発言しそうというイメージで書いたモノ。
俺様青峰よりピュア峰がイイよね!!!!
多分、私ピュア峰しか書かない気がする(笑)
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.06.29
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