『勝つことが全て』
スポーツの世界じゃ、そんなのは当たり前。
でも、あたしはその考えが嫌い。
そして、その考えをさも自然に受け入れているアイツらも嫌い。
あたしは―――
バスケが嫌いだ。
だから、逆らった。
絶対に逆らっちゃいけないヤツに逆らった。
その代償は大きかったけど。
テツはあたしと同じ考えを持ってた。
『何かが欠落している』
本当にそう思う。
テツは「何かが欠落している。だけど、それが何かは分からない」と言う。
あたしには分かってる。
欠落してるものなんて目に見えて分かる。
でも、きっとテツを含めたキセキのみんなは絶対に分からない。
『勝利』しか頭にないから。
『敗北』することで見える世界があるということを彼らは知らないから。
「僕は・・・バスケが嫌いだ」
そう言い放ったテツに自分を重ねて、
彼にはあたしと同じ思いも、大きな代償も受けてほしくなかったから。
だから、連れ出してあげたかった。
違う世界を見せてあげたかった。
けど、本当は利用したかっただけなんだ。
テツの持ってる能力が欲しかっただけなんだ。
テツの力でみんなに勝ちたかっただけなんだ。
だから、あたしは声をかけたんだ。
あたしの目的を達成するための手段にするために。
あたしは卑怯だ。
でも、今はそれでイイ。
あたしの目的が達成出来るなら。
もう一度、バスケに向き合えるなら。
もう一度、バスケを好きになれるなら。
もう一度、アイツの笑顔が、楽しそうにプレイしてる姿が見られるなら。
だから。
「ねぇ、テツ。あたしと一緒に誠凛に行かない?そしてキセキの世代、倒そうよ?」
君のココロ
でさえ、利用できるなら
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
黒子以外にも帝光の理念に疑問を思って、共感してくれる子がいれば良いのにと思って書いた作品。
実は一番最初に書いた黒バス小説。
名前変換ない。暗い。重い。
夢小説とは言えない話。
ヒロインだけですし。黒子出てきませんし。
でも、個人的には気に入っている話です。
勝つだけが全てじゃないと思っているからこそ、書けたのかなと思ったり。
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.06.09
Back