キミの見せてくれる笑顔が
この世界で一番煌めく宝物
煌めく世界ときみ
部活終了のホイッスルが鳴った。
シャツの袖で汗を拭う。
ミーティングも終わり、着替えをしようと部室に向かおうとする。
ふと、体育館の入り口の壁にもたれかかるようにして立っている人物に気付く。
ちょいちょいと俺を笑顔で手招く。
「何か用か?」
「うん。大至急着替えて、生徒会室来て」
笑顔でそれだけ言い残すと、は颯爽と体育館を去っていく。
あの笑顔は何かを企んでいる笑顔だ。
「嫌な予感しかしないのだよ」
俺はボソリと呟いて、重い足取りで部室へと向かった。
案の定、生徒会室に行くとの仕事を手伝わされた。
今度の生徒総会で使う資料を延々とホッチキスでとめていく。
室内には俺としかおらず、他の役員の姿は1人として見えなかった。
「他の役員はどうしたのだよ?」
「みんななら帰したよ。遅くまで残ってもらうの悪いし」
「・・・部活終わりで手伝わされている俺はいいのか?」
不機嫌な顔でを睨む。
それを見てはクスクス笑っている。
「ごめん、ごめん」
口では謝ってはいるが、全然反省の色が見えない。
俺はため息をついた。
チラッと壁に掛けてある時計を見る。
現在の時刻は7時を少し回ったところ。
おそらくこのまま作業を続けていれば確実に8時は過ぎる。
他の役員をその時間まで残して作業させるのが申し訳なく思って帰したのだろう。
で、俺に手伝わせたのは一緒に帰ると約束していたから待たせるのが嫌だったのだろう。
もし仮に「先に帰っていい」と言われても俺なら待っているだろうと予測して、
それも申し訳ないと思ったのだろう。
他人最優先で考えるところは本当に優しいな。
そんなことを思いながら黙々と作業を続ける。
「はい!これで終わり〜!」
は最後の1つを綴じると、ん〜と大きく伸びをする。
もう一度時計を見ると8時5分前であった。
意外と早く終わったなと息を吐く。
それと同時にが立ち上がる。
「んじゃ、行きますか」
「・・・どこに行くのだよ?」
俺は訝しげに尋ねる。
「んふふ。良いところ♪」
は意地悪く笑うと俺の手を引っ張ると歩き出した。
着いた場所は屋上。
扉を開けるとぶわっと生暖かい風が頬を撫でた。
「ここのどこが良いところなのだよ」
俺は眼鏡を上げながら不満げに言う。
はそんな俺には目もくれず、携帯の時計を確認する。
「うん、もうそろそろかな・・・」
「おい、何が・・・」
俺がもう一度文句を言おうとすると、いきなり大きな音が鳴った。
そして、一瞬で暗闇が明るく照らされる。
空を見上げるとキレイな花火が打ち上げられていた。
「どう?キレイでしょ?ここの屋上、一番キレイに花火見えるのよ」
びっくりしている俺にが教えてくれる。
そういえば今日は近所の神社で夏祭りがあると部活でも盛り上がっていた。
それもあって他の役員を帰したのか。
「真太郎、夏祭り行こうって言っても、『人が多いから嫌』っていうでしょ?絶対。
だから、せめて花火だけでも見れたらな〜と思ってね」
また花火が打ち上がる。
キラキラ輝く空の下で微笑んでいるはいつも以上にキレイで、
思わず見とれてしまった。
「どう気に入ってくれた?手伝ってくれたせめてものお礼」
そう言っては微笑む。
俺はの手を掴んで引き寄せた。
そしてそのまま抱きしめる。
「の頼みなら、どんなところにだって一緒に行ってやるのだよ」
耳元でそっと囁く。
はふふっと小さく笑って俺の背中に手を回す。
そしてギュッと抱きしめてくる。
「じゃあ、来年は夏祭り付き合って」
俺の胸に顔を埋めながら、嬉しそうな声では言う。
「もちろんなのだよ」
俺がそう言うと、は顔を上げて微笑む。
とても嬉しそうに、
すごく幸せそうに、
が笑った。
俺は目を閉じてにキスをした。
キラキラと夜空に煌めく花火たち。
でも、それ以上に
キラキラと煌めいている花火は
今、この腕の中に
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
夏といえば夏祭り!!!!!!
ということで始めたお題企画。
今回の担当は緑間さんです。
ちょっと途中から頭の中で緑間さんが勝手に動き出して暴走し出したので、
そのまま暴走してもらいました(笑)
ちょっと、今回の緑間さんイケメンだよ。
書いてる本人が一番ビックリだよ。
そして、「夏祭り」言ってるのに夏祭り行ってない・・・。
ごめんね、緑間さん(笑)
当初のコンセプトは姉御肌な彼女さんに敵わない緑間さんを書こうとしてたのに。
全然違う方向へ走っていった気がする。
でも、これはこれでいいか。
緑間さんが美味しい(笑)
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.07.23
お題提供元:確かに恋だった様
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