今日は黄瀬君と黒子君が緑間君のおうちに遊びに来ました。
イチゴのショートケーキ
「ただいまなのだよ」
「お邪魔します」
「お邪魔するっス〜」
玄関を開けて3人が中に入ると、奥の部屋から優しい雰囲気をした女性が出てくる。
「あら、黒子君に黄瀬君。いらっしゃい。ゆっくりしていって下さいね」
ふんわりと微笑み、「おやつあるから持って行って」と緑間に耳打ちすると、
また奥の部屋へと入っていった。
2階へ続く階段を登り、緑間は2人を部屋に通した。
「ちょっと待っているのだよ」
鞄を机に置くと、緑間は1階へと降りていった。
「・・・にしても、何もない部屋っスね〜。エロ本とかないんスかね?」
緑間のいなくなった部屋で黄瀬が色々と物色し始める。
机の引き出しを開けてみたり、ベッドの下を覗いてみたりと楽しそうに室内を歩き回る。
「黄瀬君、勝手に人の部屋をいじるのはどうかと思いますよ?」
黒子が止めるのも聞かず、「大丈夫っスよ〜」と言ってあちこち触っている。
はぁ、とため息を漏らしたと同時にドアが少し申し訳なさそうに開いた。
黒子がそちらに目を向けると5歳くらいの小さな女の子が中の様子をうかがっていた。
「うわ!可愛い子っスね!どうしたんスか?」
いつの間にかドアの近くに来ていた黄瀬がしゃがみ込んで笑顔で話しかける。
その瞬間、小さな体がビクッと跳ねた。
そんなことは気にも止めず、黄瀬は小さな女の子を抱き上げた。
「うわ〜!マジ可愛いっスね!緑間っちの親戚の子か何かっスかね?!」
楽しそうに笑う黄瀬と相反して、女の子は怯えた表情をしている。
ひょいっと黄瀬の手から女の子が引きはがされる。
「黄瀬君、やめて下さい。小さい子が怖がってます」
黒子は黄瀬から女の子を奪うと、ゆっくりと床に下ろしてあげる。
「すみません。あの人、ちょっとおかしいので」
「ちょ!酷くないっスか!黒子っち!」
黄瀬が後ろでぎゃいぎゃい騒いでいるのを無視して、黒子は女の子に向かって微笑んだ。
それを見た女の子は少しホッとしたような表情になった。
「お前達は何を騒いでいるのだよ」
3人が声のする方に顔を向けるとお盆を持った緑間が入り口に立っていた。
女の子はパァッと顔を明るくすると、とてとてと走っていく。
そして、緑間の足にガシッとしがみつく。
「おかえりなさい!おにいちゃま!」
上を見上げて笑顔で言う。
その言葉に黄瀬と黒子は顔を見合わせた。
「「おにいちゃま?」」
そしてゆっくりと緑間の顔を見て、足元にいる小さな女の子に目線を移す。
もう一度緑間の顔を見てから、2人は同時に吹き出した。
「何なのだよ、お前らは」
少し不機嫌そうな声の緑間を横目に黄瀬と黒子は腹を抱えて笑っている。
「緑間っちに妹がいるなんて初耳っスよ。しかも、おにいちゃまって普通呼ばれなくないっスか?
おかしすぎるっスよ。あ〜腹いてぇ」
「僕も初耳です。それに・・・似てないんですね、妹さんと」
「余計なお世話なのだよ」
緑間は持ってきたお盆をテーブルの上に置く。
ようやく笑いの収まった2人はテーブルを囲むようにして座った。
緑間も2人に向かい合うような形で座る。
と、女の子はとてとてと歩いて自然な流れで緑間の膝の上にちょこんと座った。
「なんだか緑間君の膝に小さな子が乗ってるというのは不思議な光景です」
黒子がまじまじと見つめていうと、黄瀬も頷いて同意する。
「お前達は本当に失礼なのだよ」
緑間は眼鏡を上げながら、不機嫌そうに言った。
「いや〜、それにしてもマジで可愛いっスね!名前、何て言うんスか?」
黄瀬が尋ねると、女の子はちょっと戸惑ったような表情をした。
チラッと緑間の表情を伺う。
緑間が優しく頭を撫でてあげると安心したのかゆっくりと口を開いた。
「みどりま 。5さいです。よろしくおねがいします」
可愛らしい声で挨拶をすると女の子――は小さくペコリと頭を下げた。
それを見た黄瀬と黒子はとても幸せな気分になり、自然と顔が緩んでいた。
「いや〜マジで癒されるっスね」
「はい。本当に可愛らしいですね」
緑間君に似てなくて、と黒子が付け加えると、緑間は少し不機嫌に、
黄瀬は再びお腹を抱えて笑い出した。
そんな3人には目もくれず、はお盆の上に乗っているモノに興味津々だった。
「食べていいのだよ、」
緑間がの視線に気付いたのか、声をかける。
は緑間の顔を嬉しそうに見てから、それに手を伸ばす。
「イチゴのショートケーキ、好きなんですか?」
「うん!だ〜いすき!」
黒子が聞くと、は嬉しそうに力強く頷いた。
は一口、ケーキを食べると幸せいっぱいといった笑顔を浮かべる。
「美味しいっスか?」
「うん!とってもおいしいのだよ!おにいちゃんたちもたべて〜!」
に勧められ、黄瀬と黒子、そして緑間も各々でケーキを選んで食べ始める。
「良かったですね、緑間君。似てるところありましたよ」
「うるさいのだよ、黒子」
さっきの口調のことを言っているのであろう黒子の発言に黄瀬は腹を抱えて笑っている。
少し不機嫌な表情をしている緑間の目の前に何かが突き出される。
よく見るとが苺をフォークにさして、緑間の目の前に出している。
「いちご、あげるのだよ!はい、あ〜ん」
が笑顔でそういうと、緑間は迷うことなく差し出された苺を食べた。
「おにいちゃま、おいしい?」
「美味しいのだよ。ありがとう、」
少し微笑んで頭を撫でてあげると、は心底嬉しそうな顔をして、再び自分のケーキを頬張り出す。
ふと2人に目線を向けると、ポカンと口を開けて緑間を見ていた。
「何なのだよ、2人とも。その顔は」
緑間は怪訝そうな顔で2人を見返す。
「いや〜なんていうか・・・緑間っち、あんな顔出来るんスね。俺、初めて見たっスよ」
「僕もです。というか、緑間君がああいうことするんですね。絶対にやらない人だと思ってました」
「あ、それは俺も思ったっス」
返答を待つかのように黄瀬と黒子は緑間を見つめ返す。
緑間は眼鏡をクイッと上げると、自信満々に言う。
「当たり前だろう。がくれる物を断るわけがないのだよ」
「・・・緑間っちって、結構なシスコンなんスね」
「意外ですね」
「黒子、なんでお前はそんな目で俺を見ているのだよ」
そんなやりとりをしている中、は気にも止めずに大好きなケーキを頬張っていた。
今日、黄瀬君と黒子君は緑間君の意外な一面を目の当たりにするのでした。
ちゃん、ちゃん♪
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「愛しの妹ちゃん」シリーズということで始めてみました。
もしも黒バスキャラに妹ちゃんがいたら・・・どういうお兄ちゃんっぷりを発揮してくれるのか!?
そんな妄想から無謀にも始めてみたよ。
キセキ以外にもやっていくつもり。
そして、彼は結構一番最初にネタが上がった人物。
というか、彼のネタを思いついたから始めたモノでもあるんだけど。
普段、ツンないくせに、妹ちゃんの前だとデレてくれるとイイな、というかデレろよ!
そんな緑間君が書きたくてね(笑)
あんまデレてないけど。
そして、あんまり妹ちゃん出てこないし、絡んでないけど。
安定の残念黄瀬と、毒舌黒子っち書いてるのが楽しかった♪
帝光時代、案外仲の良い3人だったらいいよね!
お互いの家とかしょっちゅう遊びにいってたらいいよね!
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.06.29
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