キミの行動が

いつも俺の心をざわつかせる

















振りかせたくて


















「緑間、緑間君、緑間っち、みどりん、真太郎君、真太郎、真ちゃん、しー君」


「何なのだよ?いきなり」






俺の隣に座っていたが突然、名前をつらつらと言い始める。

思わず訝しげな目で見てしまった。






「ねぇ、どの呼び方が一番イイのだよ?」






一通り候補を出したというところでが首を傾げてくる。







「・・・普通がいいのだよ」


「じゃあ、しー君で」


「それのどこが普通なのだよ」







俺は名字か名前で呼べと言う意味で「普通」と言ったのだ。

その呼び方は明らかにのつけたあだ名だろう。

ニコニコ笑っているを見て、ため息をつく。

















今日は天気が良かったので中庭に来ていた。

ベンチに座って本を読んでいると、急に上から影が落ちてきた。

顔を上げるとが立っていて。

「隣、イイ?」と聞いてきて、俺の返事も待たずに隣に座った。

そして、今に至るわけだ。

まさか、呼び方云々のためにここに来たわけでもないだろうに。







「何を読んでいるのだよ?」






横からがのぞき込んでくる。

俺は一瞬だけ目線を向けたがすぐに逸らす。






「赤司が面白いから読めと半強制的に勧められた本なのだよ」


「ふ〜ん。それ面白いの?」


「まぁ、面白い」


「次、貸して欲しいのだよ。私も読んでみたいのだよ」







はそういうと笑顔を俺に向ける。

普段本なんて読まないが興味を示している。

珍しいと思うと同時に、1つ気がかりなことがあった。







「・・・その喋り方はなんなのだよ?」


「ん?しー君の真似なのだよ?気にしないのだよ」







楽しそうに微笑む

本当に何がしたくてここにいるのだろう?





俺は視線を再び本に戻す。

さっきが言ったように隣に誰がいようが、

俺の真似をされていようが気にしないことが一番だ。

読書に集中しよう。







「しー君、好きな人いる?」


「は?」






そう思った矢先、突拍子もない質問が投げかけられたために、

俺は勢いよくの方を見た。

さっきと変わらないにこやかな顔で見つめてくる。






「好きな人なのだよ。いるの?」


「答える必要ないのだよ」






俺は動揺を隠すように眼鏡を上げる。

そして、から目線を逸らした。

は少し頬を膨らませて、「ケチ」と呟いた。






「そう言うはいるのか?好きな人」






別に興味はないという風を装って、俺は本に目を向けたまま聞く。






「それがいるのだよ」






ちょっと楽しそうな、嬉しそうな声色でが話す。

その言葉を聞いて、また少し動揺する。

一瞬だけ、チラッとを見る。

俺に向けて微笑んでいるの視線とぶつかって、慌てて逸らした。

反応を楽しんでいるのか、この質問をしてきた時からずっと俺を見ていたらしい。







フッと横から気配が消えたかと思うと、俺の上にまた影が落ちてくる。

顔を上げると、ニコニコ笑っている

数秒見つめ合う。

だが、俺はそれに耐えきれずにプイッと横を向いてしまった。

小さく笑った声がしたかと思うと、頬に軟らかい感触がした。

驚いて、勢いよく顔を向ける。

少し頬を赤くして、いたずらっ子のような顔でが笑った。






「いい加減、気付くのだよ!」






そう言い残すと、小走りで校舎の中に消えていった。

俺はまだ感触の残る頬に手を添えながら、の後ろ姿をただ呆然と見つめていた。









たまに突拍子もないことをするヤツだとは思っていた。

驚くこと大胆なことをするヤツだとも思っていた。
けど、これは危険だ。







「一瞬、本気で心臓が止まるかと思ったのだよ・・・」






呟いた言葉は風に流れて、消えていった。










−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

みどりんの呼び方、何かないかな〜という妄想から生まれたモノ。
桃井とも黄瀬とも紫原とも被らない呼び方を模索した結果がこれ。

ヒロインちゃん→←緑間なんだけど、緑間が全然ヒロインちゃんの気持ちに気付いてない。
だから、振り向かせたい。
そんな気持ちから行動に出たヒロインちゃん。
こういう女の子は書いてて楽しいし、好きです。
みんな振り回されればいいよ、ホント♪


それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。


12.06.25





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