学校から駅へ続く通学路。
オレンジから紫に変わろうとしている空の下を歩いている。
私はチラッと横に並んで歩くテツ君を見上げた。
テツ君は無表情で真っ直ぐ前を見て歩き続ける。
「ねぇ、テツ君」
私は沈黙に耐えられなくなって声をかける。
「何ですか?」
テツ君はこちらに目を向けることなく答える。
「・・・怒ってる?」
「・・・怒ってません」
少しの間を開けてテツ君が答える。
その間がちょっと怖い。
「そのわりに会話、少ないよね?」
「いつもこんな感じです」
いつもはもう少し会話あると思う。
それにこんなに返事が素っ気ないことはない。
「怒ってるよね?絶対に」
「・・・だから、怒ってません」
「・・・何で、ちょっと間が開くの?」
私は立て続けに質問する。
このまま気まずいのは嫌だし、何より何に対して怒っているのかその理由が知りたかった。
多分、私に関係していることだと思うし。
テツ君は一瞬私の方を見たけど、すぐに正面を向く。
「・・・さっき、火神君と何を話していたんですか?」
「火神君と?特にたいしたことは話してないけど・・・」
何で急にそんなことを聞くのだろうと不思議に思った。
火神君とは今までだって普通に話しているし、
今日久々に会話をしたとか何か特別な内容の話をしたわけじゃない。
?マークを浮かべながらテツ君を見ていると、急に立ち止まった。
私も立ち止まって振り返る。
「・・・じゃあ、何であんなに楽しそうに話してたんですか?」
テツ君は少しうつむき加減で尋ねてくる。
そして、私は一つの結論に辿り着いた。
もしかして、ヤキモチ、妬いてくれてる?
私はなんだか嬉しくなって、少し微笑む。
「・・・何笑ってるんですか?」
テツ君を見ると、少し頬を赤くしながら私を睨むように見ていた。
それがさらに嬉しくて、可愛くて、私は笑みを深くさせた。
「何でもないよ?」
私は笑顔のままはぐらかす。
そしてゆっくりと歩き出した。
それに合わせてテツ君もゆっくり歩き出す。
「・・・笑ってるじゃないですか」
「笑ってないって」
私は振り返って笑顔を向ける。
「・・・笑ってますよ」
テツ君は頬を赤くしたままそっぽを向く。
その行動も可愛くて、フフッとまた笑ってしまった。
それを横目で見て、テツ君は観念したように「はぁ〜」と短くため息をついた。
私は歩く速度を少し緩めて、テツ君の横に並ぶ。
さりげなく手をつないでみる。
見上げると驚いたような目線とぶつかる。
もう一度微笑んで、聞いてみた。
「ねぇ、怒ってる?」
「・・・もう怒ってません」
テツ君はふわっと笑うと、手を強く握り返してくれた。
それが嬉しくて、私はさらに強く手を握り返した。
仲良く手をつないで帰る、帰り道。
普段見ることの出来ないテツ君が見られて貴重だったなという事と、
あともう1つ分かった事がある。
それは―――
「ねぇ、テツ君。あたしのこと好き?」
「好きですよ、。大好きです。だから、むやみに他の男に笑顔を向けないで下さい」
テツ君が本当に私のことを好きでいてくれているという事。
だからこそ、これだけは言っておきたい。
テツ君が私を好きって思ってるのと同じくらい、
ううん、それ以上に私はテツ君が好き。そう言える自信がある。
だから、心配なんてしなくていいのに。
だって―――
私の瞳にはキミしか映らない
(じゃあ、明日からは僕以外見ないで下さい。僕だけを見て過ごして下さい) (・・・無理があると思うの、それ)
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ツイッターで見かけたネタを広げてみた〜。
ヤキモチ妬いてる黒子さんどこですか?という思いで書いたモノ。
意外と彼女の前では余裕ない黒子っちとか好き。
でも逆も好き。
彼女振り回す黒子っちとかも美味しい。
物事に無頓着そうで実は独占欲強い黒子さんとか俺得すぎて。
「好きなモノはどんな手を使ってでも手に入れる」的な黒子さん下さい。
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.07.09
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