「笠松先輩。手、つなぎませんか?」



そう言って差し出された手を俺は静かに見つめていた。
















hands to hands (手から手へ)











今年のインターハイ後、俺はに告白された。

そんな経験は今までなかったし、元々女子が苦手だった俺はすぐに断った。

が、どこから嗅ぎつけたのか、黄瀬や森山たちが「もったいない」だの何だの騒ぎ立て、

苦手克服のためにもまず「友達」から始めてみては?との提案がなされた。

俺は却下したが、アイツらにしつこく説得され、渋々承諾した。






「いや・・・」



俺は困惑していた。

まだ付き合ってもないのに手をつなぐのは・・・などと考えているうちに

によって左手が攫われる。






「あ、おい!」

「タイムオーバーです」



ギュッと手に力を込めて、がいたずらっぽく笑う。

強引だなとため息をつきつつも、少し嬉しく思う。






俺からは絶対に出来ない。

いつもから行動を起こす。

でも、ちゃんと俺のペースに合わせてくれる。

少し強引なところもあるけど、前もって俺に聞いてくれる。

「〜しませんか?」と。

だから、心の準備が出来る。

少しだけ心に余裕が出来る。

俺のことをちゃんと考えて行動してくれることが嬉しくて、

だんだんに惹かれていく。






つないだ左手に少し力を入れて、意を決して口を開く。






「日曜、久々にオフなんだよ。だから・・・映画、行かないか?前、見たいって言ってたヤツ」



恐る恐るの方を見ると、驚いた表情で俺を見上げていた。

が、すぐに満面の笑みに変わる。






「はい!是非!」



すごく嬉しそうにが頷いた。

今まで見た中で一番良い笑顔をしていた。






もっと見たいと思った。

いつも俺がもらっている嬉しい気持ちを

少しずつでもに返していきたい。






今つないでいる左手から、

この暖かい気持ちが伝わればいいのにとギュッと力を込めた。










−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

初☆笠松先輩です。
どう書いていいやら分からず、手さぐり状態(笑)
笠松先輩には大人しい感じの子が似合うかな?というイメージで書かせてもらいました。
2人でゆっくりゆっくりラブラブしていってくれればいいなと思います。


それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。


12.09.12





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