「はい、どうぞ」


あたしはキレイにラッピングされた小包を鉄平に渡した。
鉄平は首を傾げるだけで受け取ろうとしない。






「?何、これ?」






あたしは鉄平の言葉に目を丸くした。














「・・・誕生日でしょ?今日・・・」


あたしの言葉を聞いても鉄平はピンと来ていない様子。
続けてあたしに質問した。






「今日は何日だ?」

「・・・6月10日」


なんだか嫌な予感がする。
日付を聞き、壁にかけてあるカレンダーに目を移す鉄平。









「・・・・・・そうか。今日は俺の誕生日か!!」






「・・・・・・信じらんない・・・」



あたしは思わず手のひらで顔を覆った。
もうため息しか出ない。









「自分の誕生日忘れるってどんだけなのよ。他の人のはちゃんと覚えてるくせに・・・」


もう1つため息が出る。
なんでこうも自分に無関心なのだろうと呆れてしまった。






「だから、はい。プレゼント」


あたしは改めて鉄平に小包を差し出す。
今度は迷うことなく受け取ってくれた。








「開けていいか?」

「どうぞ」


受け取るとすぐに包装を開け始める鉄平。
ちょっと嬉しそうに見える。



「何がイイか分からなかったから、とりあえず日常使えそうなモノ」


箱の中にはシャーペンとボールペンのセット。
もっと他のも考えたんだけど、予算的にもあたしのお財布に優しかったし、
身近で使ってもらえるモノが良かったから、これにした。










「おぉ、ありがとな〜、

「どういたしまして」


満面の笑みであたしにお礼を言ってくれる。
その言葉が、笑顔が嬉しくて、あたしもやっと笑顔になった。








「でも、わざわざプレゼントなんて良かったんだぞ?」


これ高そうだ、なんて言いながらプレゼントをまじまじと見ている。







「何言ってんのよ。毎年あたしの誕生日にプレゼントくれてるんだし。
それに彼氏の誕生日に何もお祝いしないなんて嫌なの」


本当に自分に無関心というか、他人最優先で物事を考えるんだな、鉄平は。
呆れを通り越して感心してしまう。









「あぁ、いや、そうじゃなくてだな・・・」


あたしが鉄平の言葉に不機嫌になったと思ったのか、珍しく口ごもって言う。
頭に?マークを飛ばしていると、あたしの顔をジーッと見てきた。






「何?」

「いや、俺はが傍にいてくれるなら、他には何もいらないんだけどな」


そう言ってふわっと鉄平が笑う。
あたしは再び目を丸くする。
そして、どんどん顔の温度が上昇していくのが分かった。
咄嗟に俯く。








「ん?どうしたんだ、?顔真っ赤だぞ?」


俯くあたしの顔をのぞき込んで鉄平が聞いてくる。






「うっさい!これだから天然は!」


あたしは大声で叫ぶと勢いよく立ち上がり、ズンズンと歩き始めた。




「え?どうしたんだよ?」


なぜあたしが急に怒り出したのか理解不能という顔であたしのあとをついてくる。






「うっさい!ついてくんな!」


あたしはまだ真っ赤な顔のまま、ただ大きな声を出していた。










別に怒っているわけじゃない。
ただ嬉しかっただけ。


『これからもずっと傍にいていい』


そう言ってくれているようで嬉しかった。

ただ、それだけ。










鉄平は「ごめん」と謝りながらあたしのあとをついてきた。
あたしは返事をせず、歩いていた。










急に強い力で後ろに引っ張られた。
そしてそのまま、鉄平に後ろから抱きしめられた。




「ごめんって・・・」




表情は見えない。けど、声で分かる。
本当に困ってる。焦ってる。
あたしを怒らせたと思って。









「・・・別に、怒ってる、わけじゃない」

「え?じゃあ、なんで?」

「聞くな!バカ・・・」


そう言ってあたしはギュッと鉄平の腕を抱きしめた。
その行動に安心したのか、ホッとした声で「そうか」と呟いていた。









「もう少し、こうしてていいか?」

「・・・しょうがないから、少しだけわがまま聞いてあげる。誕生日だし」


あたしの言葉に鉄平はフッと笑った。
我ながら本当に素直じゃない。











鉄平があたしの肩に顔を埋める。
それがちょっとくすぐったくて身じろぎする。
でも甘えてくれてる感じがして、嬉しくて、自然と微笑んでいる自分がいた。
コツンと自分の頭を鉄平の頭に乗せてみる。










「好きだよ」










聞こえるか、聞こえないかぐらいの小さな声で呟く。
返事はなかったけど、笑ってる気がした。










いつも君の天然には振り回されてばっかりだし、
素直に気持ちをぶつけられてばっかりで心臓が持たないけど、
たまには君を見習ってみる。






あたしのほんの少しの勇気。

素直な気持ち。








来年もまたこうして、笑いあっていて下さい。
あたしの傍にいて下さい。
他には何もいらないから。









小さな想いを束に
(ただ、もう少し天然を自重して。いつか爆発する) (え、何が!?)







−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

6/10は我らが誠凛バスケ部:木吉鉄平のバースデーということで書いた作品。
初書きだよ。当たり前だけど。

木吉さんは天然爆発なところが大好きです。
だから天然に振り回されるヒロインちゃんが書きたかったのです。

一応、付き合ってるよ〜。カップルだよ〜。
誠凛バスケ部の面々からすると「ラブラブバカッポー」だよ〜(笑)
みんながからかうと、ヒロインちゃんが全力で否定します(笑)

書いてるうちにツンデレ彼女になってた。
ツンデレは大好きです。宝です。
もっと増えろ、ツンデレ!!!


それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。


12.06.10







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