落とすのは、あなたの前だけ

拾わせるのも、あなただけ

だって、あなたは私の王子様




















ガラスの

















部室に続く廊下を他愛もない話をしながら赤司君と2人、並んで歩く。






「あっ!」










注意して歩いていたはずなのに、私は何もない所で躓いた。

急なことで上手く体勢を直せず、転ぶと思って目をつぶった。

けど、やってきたのは床にぶつかる衝撃ではなく、

ふわっとした温かい感触。

そーっと目を開けると、そこには赤司君がいて、

私の体を受け止めてくれていた。












「あ、ありがとう」

「全く・・・はドジだな。注意力が足りない」

「ごめんなさい」











赤司君の言葉に、その通りだと思った私は謝罪の言葉と苦笑いを返した。

私の体勢を直すと、赤司君は後方に歩を進める。

首を傾げて見てみると、そこには私の靴が転がっていた。

どうやら躓いた拍子に脱げてしまったみたいだ。

それをひょいっと赤司君が拾い上げる。










「ごめん、赤司君。ありがとう」


私が言いながら近づくと、赤司君は私の前に跪いた。











「ほら、足貸して」

「え、いいよ。自分で履けるよ」










突然の赤司君の行動に私は驚きを隠せなかった。

断ったものの赤司君は動こうとしない。

戸惑う私をよそに赤司君は手を差し出してくる。











「いいから。早くしないと通行の邪魔になる。それともはみんなの注目を浴びたいの?」








そう言うと、少し意地悪く笑う。

ちょっと面白がってる。

きっと何を言っても聞き入れてくれないと思った私はあきらめて赤司君に従う。

差し出した足を優しく掴むと、脱げた靴を履かせてくれた。












「こうしてるとシンデレラみたいだな」

「え?」



立ち上がりながら赤司君が呟く。











「俺以外のヤツにガラスの靴を拾わせちゃダメだぞ」











クスッと意地悪く微笑むと、すれ違いざまに頭を撫でられた。

撫でられた部分に手を当てる。

前方を歩く赤司君の背中を見つめて、私も微笑む。









「待って、赤司君」



そう言って駆け出した。
今度は足元に気をつけながら。








−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

活動休止する前に書いていた作品。
『童話をモチーフに話を書きたい』と思ったのがきっかけで書いたものです。

今回のは読んで分かる通り『シンデレラ』です。
普通の人間ならやらないような行為を赤司様にやっていただきました(笑)
ありがとうございます(笑)
でも赤司様ならやりそうよね!とのことで書いてみました(笑)
自分がやられたら絶対に学校に行けなくなるヤツですね。
恥ずかしすぎて(笑)


それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。


15.03.02





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