ふわふわふわ

キミを魅了する甘い媚薬


















ふわふわまい











小さな手をつないで人ごみの中を歩く。

下を見るとちんが嬉しそうに買ったばかりの綿菓子を見つめている。

たまにくるくると割り箸を回している。






ちん、食べないの?」


「ん〜?食べるよ?でも、まだ食べない」






ちんはそう言うとオレに笑顔を向ける。

でも、すぐに綿菓子に視線を戻す。


今、

この瞬間、


ちんの心を奪ってるソイツにちょっと嫉妬する。







ようやくちんが綿菓子を一口頬張る。

口に入れた瞬間、とても幸せそうな笑顔を見せる。

オレに向けるのと全然違くて、やっぱり嫉妬する。






ちん、それ美味しい?」


「美味しいよ〜。食べる?」






オレが聞くと、ちんは「はい」と綿菓子を口元に持ってくる。

少し屈んで口に入れる。

ふわっとしていて、入れた瞬間に溶けて消えて、甘さだけが残った。






「どう?美味しい?」


「うん。美味しい〜。甘いね〜」






オレは口の周りをペロッと舐める。

ちんは「良かった」とさらに笑みを深くする。

そして、もう一口頬張る。

やっぱりその表情に嫉妬しちゃうな〜。






「それも甘くて美味しいけど、でもこっちのがもっと甘くてもっと美味しそう」






そう言うとオレはちんにキスする。

ちんはビックリしたのか一瞬固まった。

唇を離すと目の前には顔を真っ赤にしたちん。


今、

この瞬間、


ちんがオレだけを見てることが嬉しくて、

ちょっとだけ微笑む。






「うん、やっぱこっちのが甘くて美味しい」






そして、何事もなかったように手を引っ張って歩き出す。

ちんは顔を真っ赤にしたまま俯き気味で歩く。






「ばか」






消え入りそうな声で呟くと、また一口頬張る。

でも、もうさっきみたいな表情はしてなくて。

それが嬉しくて、

嬉しくて、

つないだ手に力を込める。






どの瞬間も、

ちんの目に映るのはオレだけじゃなきゃ、絶対に嫌だ。

オレ以外が映っている時は何をしてでも奪い返す。

ちんを独り占めできるのはオレだけの特権だから。











−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

夏といえば夏祭り!!!!!!
ということで始めたお題企画。

今回の担当はむっ君こと紫原です。
初だよ!!!!!!
好きだなんだ言っておいてこの企画で初☆書きしたよ!!!!!!
一番ネタが浮かばないんだもの・・・彼・・・。

この作品はお題を見た瞬間から「むっ君で書こう」と迷わず決めたモノ。
ふわふわしていて甘い=綿菓子っていうイメージしか出てこなくて、
そしたらやっぱりお菓子といえばむっ君でしょうということで構想ネリネリ。
ちょっと短いですけど、書きたいことは書けたので個人的には満足です。

彼女さんを独占したい小さい子供みたいなむっ君がコンセプト。
お菓子大好きな子供じみたむっ君はマジ天使です。


それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。


12.07.19

お題提供元:確かに恋だった





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