それはキミの嫌いな―――
シュガーコーヒー
「伊月!」
下駄箱で靴を履き替えていると名前を呼ばれて振り返る。
そこには笑顔で手を振るがいた。
「今、帰り?」
「あぁ、今日はミーティングだけだからな」
「そうなんだ。お疲れ」
言いながらも靴を履き替える。
そのまま並んで昇降口を出る。
「一緒に行こう」と声をかけるでもなく、自然と2人で歩き出す。
今日の課題の量がハンパないとか、明日数学小テストあるよね?とか、
そんな他愛もない話をして校門までの短い距離をゆっくり歩く。
「あたしこっちだから」
が俺の帰り道と反対方向を指さして言う。
「じゃあ、また明日な」
手を振って歩きだそうとすると、「あ、ちょっと待って」と呼び止められる。
はゴソゴソと鞄の中から何かを探している。
お目当ての物を見つけたのか、俺に「手出して?」と言う。
首を傾げながらも素直に手を差し出す。
手のひらに乗っけられたのは少し冷めた缶コーヒー。
「確か今日誕生日だったよね?後で飲もうと思ってたヤツだけど、プレゼント」
そう言って笑顔を俺に向けてくる。
「よく覚えてたな。ありがとう」
「いえいえ。そんなのしかあげられないけどね」
ペロッと舌を出して苦笑する。
「いや、十分だよ。ありがとう」
俺が言うと、は嬉しそうに微笑む。
「誕生日おめでとう。冷めちゃってるけど飲んで?」
「ありがとう。いただきます」
「それじゃ、また明日〜」
笑顔を返すと満足げに手を振って帰っていく。
俺も手を振って背中を向けた。
もらった缶コーヒーを軽く振る。
本当は知ってる。
がコーヒーを飲めないこと。
なのにわざわざ持っていたのは、きっと多分こういうこと。
ちょっとは期待してもいいのかな、とか思いながら、
俺は一気に飲み干した。
ほのかな砂糖の甘みが口いっぱいに広がっていった。
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
伊月先輩ハッピーバースデー!!!!
ということで、書かせてもらいました♪
好きな人の誕生日はさりげなく祝いたい派です。
サプライズとか大好き。
相手の驚いた顔からの笑顔とか最高ですよね。
そんなイメージで書いたんだけど、伊月先輩驚いてくれなかった・・・。
そんなクールな伊月先輩、大好きです(まがお)
※ちなみに管理人はコーヒー大好きです。これ書きながら2杯飲んだ(笑)
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.10.23
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