きっとキミは気付いてない
キミの何気ない行動が
ボクをざわつかせる
バニラシェイク
いつもの店の、いつもの窓際の席。
そこに座っていつものバニラシェイクを飲む。
いつもと同じ、放課後の過ごし方。
ただ今日がいつもと違うのは、
向かいの席に座っているのが火神君でなく、キミであること。
たまたま帰り道が一緒になって、
話の流れでマジバに寄ることになった。
さんはストローを甘噛みしながら携帯をいじっている。
ボーッと眺めていると僕の視線に気付いたのか目線をあげる。
目と目があってドキッとする。
「(見ていたの、バレましたよね)」
内心、ちょっとだけビクつく。
けれど、平常心を装ってそのまま見つめる。
今目を逸らすと、何か感づかれてしまいそうだったから。
さんも僕から目を逸らすことなく見つめている。
見つめ合うこと数秒。
沈黙を破るようにさんが口を開く。
「黒子はいつもバニラシェイクだよね」
「あ、はい。好きなので。それに美味しいんですよ、ここのバニラシェイク」
もう少し違うことを言われると思い身構えていたが、
発せられた言葉は予想と違うものだった。
「さんは何を飲んでるんですか?」
「ストロベリー。飲んでみる?」
そう言って僕の目の前にカップを差し出す。
美味しいよ、と言わんばかりの笑顔と一緒に。
「・・・いただきます」
断る理由もなく、僕はカップを受け取る。
一口飲めば、口の中いっぱいに甘いイチゴの味が広がる。
「これはこれで美味しいですね」
「でしょ?私はわりとストロベリーのが好きなんだよね」
言いながら、僕からカップを受け取り、そのまま口に運ぶ。
「(あ、間接キス)」
ふとそんな考えが頭をよぎって頬が熱くなる。
さんに気付かれないように少し目線を逸らす。
「(何、考えてるんでしょうね、僕は)」
チラッと見れば、さんは何事もなかったのようにまた携帯をいじっている。
ストローを噛みながら。
僕だけが動揺しているようで、悔しかった。
けど、さっき思ったことを口にする勇気はなくて。
キミを動揺させる余裕なんてなくて。
いつか、キミを動揺させてみせる。
キミが僕にそうしたように。
そう心の中で決意して、僕はバニラシェイクを口に運んだ。
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒロインちゃんはクラスメイト設定です。
黒子に気があるかないかは・・・ご想像にお任せします(笑)
いつも淡々と周りを驚かす(影が薄い的な意味でね)黒子を
ちょっと驚かせたいというか、動揺させたいという衝動から生まれた話です。
黒子は振り回したい派ですね(真顔)
・・・振り回されるのも、それはそれで美味しい←
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
15.03.28
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