日曜日の昼下がり。
部活もオフで、家にいても何もすることのなかった僕は街をブラブラと歩いていた。
ありがとう
「外に出たはいいですけど、何をしましょう?」
買いたい物があるわけでもなく、何かしたいわけでもない僕は、
ただただ人ごみに紛れて歩いていた。
日曜日ということもあって、街はたくさんの人で溢れかえっていた。
友達同士、カップル、親子連れ。
いろんな人たちがいろんな会話をしながら、僕とすれ違っていく。
そういう人たちを見ながら、何も考えずに散歩感覚で街を歩くのも案外楽しいものだと思った。
そんなことを考えながら歩いている時だった。
「あれ?黒子君?」
ふと、僕を呼ぶ声が聞こえて、振り返る。
そこにはクラスメイトのさんが立っていた。
「やっぱり黒子君だ!こんなところで会うなんて偶然だね。お買い物?」
振り返った僕を見ると、さんは笑顔で近づいてきた。
「いえ。ただブラブラと歩いてました。さんは買い物ですか?」
「うん。もう終わって帰る所なんだけどね」
さんは手にぶら下げている袋を指さして言った。
「そうなんですか」
僕はそう短く答えると、ジーッとさんを見つめた。
「?どうしたの?」
僕の視線に気づいたさんが聞いてくる。
「あ、いえ。少し、疑問に思ったことがあって・・・」
一瞬、僕は目線を逸らした。
今から言おうとしていることを言ってもいいのか、やめておいた方がいいのか迷って、
一瞬口ごもる。
チラッとさんを見ると、頭に?マークを浮かべて首を傾げている。
僕は意を決して、口を開いた。
「よく、あの人ごみの中で僕のことを見つけられたな、と思いまして」
僕が少し尻すぼみにそう言うと、さんはふわっと笑って答えた。
「見つけられるよ〜、それぐらい。
だって、黒子君ってキレイな水色の髪してるから、目立つもん」
きっとその時の僕は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思う。
「影が薄い」「存在感がない」とはよく言われるけれど、
「目立つ」なんてことは一度も言われたことがなかったから。
「・・・ありがとうございます」
だから僕はお礼を言うことしか出来なかった。
僕を見つけられるのが当たり前のようにサラッと言ってくれたことも、
本当にあの雑踏の中から僕を見つけてくれたことも、すごく嬉しかった。
だから僕は、君を好きになったんでしょうか?
−−−−−−−アトガキ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
愛があれば影薄くたって、存在感なくたって見つけられるって信じてる。
という思いから出来た作品。
でもなんか尻すぼみ。
本命だから頑張って書こうと思ったのに、最後をどこに持って行きたいかすっかり見失ってしまった。
どこに行きたかったのでしょう?
誰か見つけてあげて下さい。
それでは、ココまで読んでいただきありがとうございました。
12.06.09
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